やま平窯元について
卵の殻のように薄くて軽い「エッグシェル」シリーズなど、シンプルでありながら、驚きと感動を与えるユニークな食器を作り出している有田焼の「やま平窯元」。
同社はプロ仕様の業務用食器メーカーとして歴史を築き、その技術を生かして2011年に、家庭用食器の自社ブランドを立ち上げました。
洋食器とも相性の良いシンプルなデザインと、つい手に取りたくなる軽やかな使い心地が、普段の暮らしに小さな喜びをプラスしてくれます。
業務用食器メーカーとして創業
やま平窯元の始まりは、戦後まもない頃にさかのぼります。佐賀県有田町で、有田焼の窯元「山庄窯」の二男として生まれた山本平作氏が、修行を積んで独立し、自分の名前から2文字を取った「山平窯」を立ち上げました。
1972年には、2代目の山本正治氏が社名を「やま平窯元」として法人化。大型ホテル向けの受注生産を手掛け、地元・有田の問屋を通して、東北地方や北海道の宿泊施設に数多くの食器を納品してきました。
現在は、業務用食器の生産を続ける傍ら、3代目の山本博文氏が自社ブランド「Y’s home style」を立ち上げて、デザイン性に富んだ数々の家庭用食器を世の中に送り出しています。
幻の陶器「卵殻手」を現代に
やま平窯元のものづくりを代表する商品が、厚さ1mmの真っ白な磁器「エッグシェル」シリーズです。エッグシェルの原型となったのは、江戸時代から明治にかけて日本で作られていた「卵殻手」と呼ばれる磁器。当時、その多くが西洋に輸出され、薄くて丈夫なことから「エッグシェル」と呼ばれ絶賛されました。やま平窯元では、第一次世界大戦を機に生産が途絶えた幻の「卵殻手」に着目し、有田焼の技法を駆使して現代によみがえらせました。透光性が非常に高く、飲み物を注ぐとその色がほんのりと透けて見えるほど。表面は繭のようにふんわりと柔らかく、口当たりの良さも大きな特徴です。
独自の技法で生み出す、驚きと感動
やま平窯元の器はどれも、極めてシンプルな形でありながら、わずか1mmの薄さを実現するなど驚きと感動が詰まっています。まっすぐに伸びたワイングラスのステムもそのひとつ。細くて長い脚をまっすぐに焼き上げるためには、業務用食器の生産で培われた高い技術が駆使されています。これらのデザインを手掛けているのは、外部のデザイナーではなく、やま平窯元の3代目である山本博文氏自身。有田焼の技術を知り尽くし、日本の伝統的な文様をデザインに取り入れるなど伝統文化を大切にしながら、現代のライフスタイルに溶け込む新しいデザインを提案しています。