三河の土地が育んだ焼きものづくりの伝統
杉松製陶があるのは、愛知県碧南市。古くから“三河“と呼ばれる地方です。
この地方で採れる三河土は、熱に強く保湿性に優れ、焼き物に適した性質をもっています。
そのため、古くから「三州瓦」と呼ばれる瓦や、植木鉢、そして七輪などの焼き物の生産が盛んに行われてきました。
しかしプロパンガスが普及したり、縁側のある家が減ったりする中で、七輪の需要も減少。
かつてはたくさんあった黒七輪の工房も、今では杉松製陶を残すのみとなりました。
日本で唯一、黒七輪作りを担う杉松製陶
杉松製陶の創業は、大正5年。三代目である杉浦和徳氏の祖父、福太郎氏が、農業のかたわらで七輪づくりを始めたのがきっかけです。
二代目である父、松三氏の代からは専業で七輪づくりをするようになり、自分の名字と名前の一文字目をとって杉松製陶と名付けました。
そして昭和52年、現在、七輪づくりを担っている三代目の和徳氏が脱サラ。
父の後を継ぎ、今では日本唯一の七輪づくりの担い手として、製作を続けています。
食材の数だけ楽しみが増える
炭火で熱することで、シンプルに食材の美味しさを引き出す、黒七輪。
週末にしっぽりとお酒のおともを炙ったり、休日にバーベキューをしたりと、焼く食材によって楽しみは無限に拡がります。また、災害でガスや電気が止まったとき、七輪は貴重な熱源に。いざというときの災害備品としても注目されています。
丁寧に扱えば長く使えるため、一台持っておくだけで活躍する場面がたくさんあります。