岸本吉二商店は、1900年(明治33年)に兵庫県尼崎市で創業。現在は全国で3社のみとなった、菰樽(こもだる)づくりを行う会社の最大手です。
岸本吉二商店が位置する尼崎は、伊丹や灘といった日本屈指の酒どころに囲まれている地域。江戸時代から、地場産業として菰樽、そしてその部材である菰縄(こもなわ)を作り続けてきました。神社でよく見かける奉納されている酒樽も、ほとんどは岸本吉二商店が製造しています。 そんな岸本吉二商店が立ち上げたのが、現代的で取り入れやすい新たな菰樽文化を開拓するために、グラフィックデザイナーとコラボしたKOMODARU-LINK。手づくりだからこそ伝わるもの、残っていくものにこだわり、創業以来手作業による生産を続けています。
江戸時代から続く文化「菰樽」「鏡開き」を
再発信する岸本吉二商店のお祝い道具
尼崎の地で菰樽文化が始まったのは江戸時代。当時は大阪や京都をはじめとする畿内から、船で酒を江戸へ運搬しており、その際に大きな酒樽が破損しないよう、樽に「菰」というものを巻き付けていました。
菰とはわらを織って布状にしたカバーのことで、外からでも酒の銘柄がわかるよう、そこに各銘柄の特徴を表したデザインが描かれ、菰樽と呼ばれるようになります。
明治時代後半に瓶・陶器といった他の容器が流通してからは、菰樽は「清酒の晴れ姿」として、飾りものやお祝いでふるまわれる縁起のよいものといったイメージへと変化していきました。
伝統の菰樽文化を、新しいかたちで現代に
日本の伝統文化を活かしながら現代的な視点を絶妙なバランスで取り入れている、KOMODARU-LINKの製品。素材や製法といったこだわりを守りながらも、継承してきたものをそのままつくり続けるのではなく、デザイナーとのコラボレーションなど常に新しい伝え方を模索しています。
製品づくりを通して目指すものは、菰樽文化の再提案です。菰樽を現代に合ったかたちで提案し、ちょっとしたお祝い事など、身近な生活の中にもあるものとして感じてもらいたい。この熱い想いとともに、伝統を受け継ぎ現代に生かし続けています。