空間鋳造 鉄瓶の扱い方
工房「空間鋳造」の鉄瓶は、南部鉄古来の伝統をふまえて現代の生活に合う「用の美」を求めて制作しております。
使用上のご注意
- 初めてお使いになる際は、内部をきれいにするため、湯を沸かす行為を3回ほど繰り返した後にご使用になってください。
- 内部には釜焼きという工程で酸化被膜をほどこし、湯の金気や赤錆を防ぐようにしています。
- 内部はタワシなどでこすったり、洗剤を使って洗ったりしないでください。指で触ったりするのもおやめ下さい。
- 火にかけるときは蓋(フタ)をずらして蒸気抜きをしながらお使いください。
- 沸かした湯をポットに移すときはふきんなどでつまみをおさえてから注いで下さい。蓋がすべり落ちると鉉(ツル)を握っている手が熱い湯気にあたって大変危険です。
- 使い終わる度に、蓋をとって、余熱で完全に乾かすか、軽く空炊きをしてください。水気を残すことがサビを生む原因になります。
- 注ぎ口や蓋などはサビがつきやすい箇所です。時々、乾いた布でこするように拭いて下さい。
- 鉉と本体との接合部分は使用していく度に自然と塗装がはがれて鉄の地が出てきます。やがてかすかなサビを生じる場合がありますが、その場合の対処方法として、 サラダ油等を少々塗り、拭き取ることできれいになりますのでお試し下さい。
- 鉄瓶は使い込むほどに「湯あか」が付着していき、赤サビがさらに抑えられるようにます。「湯あか」は湯の中に混じっているさまざまな物質が沈着したもので、湧き上がった湯がすっきりと美味しく感じられるのはそのためです。
- しばらくしまっておく際は、よく乾かしてから新聞紙や和紙などの吸湿性のよい紙に包んで乾燥した場所に保管して下さい。
「使い込まれた鉄瓶」 = 「甘美な湯の提供」
これは「釜焼き」された鉄瓶表面と幾層にも重なった「湯あか」に起因すると思われます。
「釜焼き」(南部鉄伝統技法)により、鉄瓶表面に酸化被膜を作ります。
水中のさまざまな物質は「湯あか」となり、鉄瓶内部に吸着除去され、同時に微量の鉄分が含まれていきます。
これが「甘美な湯」を生むと言われています。故に、この被膜と湯あかの層を損じないために鉄瓶内部を洗ったりしないでくださいと言われているのです。
「使い始めの内部変化を知る」 = 「甘美な湯への近道」
最初のうちは毎日お使いいただくことをおすすめいたします。水は6~7分目を目安にしてください。
(参考目安)
3~4日目・・・・・湯色の斑点や流れるような模様が見えてきます。
7日目・・・・・・・褐色の部分が薄くぼやけてきます。
10日目・・・・・・内部全体に白い被膜が見えてきます。口先や蓋のまわりに顕著に見えてきます。
15日目・・・・・・褐色の部分や灰色の部分にも白い「湯あか」が付いてきます。
それ以降・・・・・外部はツヤが生まれ、内部は水質にもよりますが、黄・赤・青みを帯びた「湯あか」に覆われてきます。
空間鋳造
南部鉄器の産地、岩手県の水沢にて鉄瓶を製作している「空間鋳造」。
代表の岩清水さんは、現代の生活にすっと溶け込むような美しい鉄瓶を提案しています。
装飾のないすっきりとしたデザインは一見無機質のようにも見えますが、鉄瓶を作る工程の中から自然に生まれる素材そのものの魅力を引き出し、“鉄らしさ”を表現しつつ、鉄の質感や色にこだわり、一つ一つの製造工程を大切にしています。