須浪亨商店
創業1886年の須浪亨商店は、もともと岡山県倉敷市にてござを製造していました。
花ござ発祥の地である倉敷では、いぐさの農業やいぐさ製品の産業が盛んでしたが、産地の衰退と共に須浪亨商店ではござは作らなくなり、現在はいぐさのかご「いかご」をつくっています。
現在の5代目の須波さんは、子供の頃からお祖母様に教えてもらって「いかご」を引き継ぎ、おひとりで1つ1つ丁寧に手作業にこだわりつくっています。
「やみかご」と呼ばれていたいかご
元々いかごは、「やみかご」と呼ばれており、戦後の闇市での買い物かごに使用していた為と言われています。やみかごは、どの地域にもあり、その地域で採れる素材を使用し作られていました。倉敷ではいぐさ製品の製造の際に、捨ててしまういぐさの部分撚って縄にし、内職としてやみかごを織っていました。
いぐさは、常に呼吸をしているので、その日の湿度によって柔らかさが変わります。雨の日は水分を吸って、晴れの日にはき出します。雨の日や湿度が高い日は、いかごが少し硬く感じるかもしれません。呼吸をしているので、形のくせが付きやすいですが、使っていく内にまた柔らかくなるので、安心してお使いください。
また、畳と同じように数年経つと畳が焼けるようにいかごも茶系に変化していきます。その頃には、手の脂で艶が出て、かごの角がやや丸みを帯び、しなやかになっていると思います。経年変化していく、いかごをぜひ楽しんでください。