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肥前びーどろ

江戸時代から続く、佐賀とガラスの歴史

「肥前」とは、九州に在った古い国の呼び方。現在の佐賀県と、長崎県の一部にあたる地域です。
佐賀(鍋島)藩10代藩主鍋島直正公は、1852年に「精煉方」を設置。肥前びーどろの歴史は、そこから始まったといわれています。この「精錬方」は、現在の理化学研究所のようなもので、生活必需品や学術研究所のために必要な道具を作っていました。そのため、当時では珍しいガラス窯が築かれ、主に科学実験のためのビーカーやフラスコが作られていたといいます。
その後、開国・明治維新に入ると、ランプや食器の製造が主流に。「精錬方」から独立した歴史をもつ副島硝子工業だけが、唯一、現在でも肥前びーどろを製造しています。

佐賀市の重要無形文化財「肥前びーどろ」

現在では、佐賀市の重要無形文化財に指定されている、肥前びーどろ。110年以上の歴史をもつ、宙吹き(ちゅうぶき)ガラスの伝統工芸品です。
宙吹きガラスとは、型を使わずに、息を吹き込んで宙空でガラスを成形する製法ですが、肥前びーどろはその中でも珍しい「ジャッパン吹き」という製法を用います。

一般的な宙吹きでは、成形の際に鉄の吹き竿が使われていますが、「ジャッパン吹き」の場合、ガラスの友竿(ともざお)を使います。空気以外のものに触れることがほとんどないため、よりなめらかな肌合いに仕上がるのです。
習得するのに、約10年の修行が必要と言われる難易度の高い技術で、日本独自のもの。時代とともにその技術をもつ職人は減少し、現在では副島硝子工業の職人のみが「ジャッパン吹き」の製法を守っています。
この唯一無二の製法と優れた技術を活かし、肥前びーどろにしかないオリジナル性を持った商品を製作しています。

見て触れて感じる、肥前びーどろの味わい

肥前びーどろの魅力は、ジャッパン吹きならではの「なめらかな肌合い」と「手づくりの温かみ」。
なるべく空気以外のものに触れないよう空中で成形されているため、表面は驚くほどになめらか、かつ艶やか。職人が手作業でひとつひとつ命を吹き込むため、形状が少しずつ異なり、それが製品の個性と味わいになります。

普段ご家庭で使う日用品としてはもちろん、内祝いや引き出物など、特別な日のプレゼントにもおすすめ。

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