美濃のプロフェッショナルとプロダクトデザイナー吉田守孝が
毎日の暮らしに役立ち、焼きものの未来を変えるために手がけた「TRIP WARE」
1000年経っても土に還らない焼き物だから、きちんと焼き物の在り方を考える
「TRIP WARE」は、岐阜県東濃地方で行われているエコプロジェクトから生まれました。
食器の多くは今まで不燃ごみとして廃棄し、ごみのカサを減らす処理をして、埋め立て地へ処分されてきました。焼き物の原料である粘土は土から採れますが、1000年経っても土に還らないのに、処分方法は「埋め立て」しか手段がなかったのです。
高い研究技術が支える美濃のGL21プロジェクト
GL21プロジェクトとは…
家庭、レストラン、カフェ、給食などで使われてきた使用済み食器を回収し、粉砕して”食器くず”にし、食器くずを陶土に加え合わせて陶磁器をつくる坏土(注2)に再生。
坏土全体のうち食器くずの割合は20%におさえ、環境負荷の少ないものづくりを目指す活動を行っています。
焼き物リサイクルってどこがスゴイの?
TRIP WAREは、通常の土と再生の坏土20%を混ぜて作られます。一見、低いリサイクル率ですが、大きい意味を持っています。各地でリサイクルにより集められたものであることから、物性にはバラつきが発生します。回収物が磁器と銅器がどれくらいの割合で入っても安全で成り立つリサイクル土を仕上げ、古い時代特有の装飾の食器(鉛ちか、カドミウム)が混ざる場合でも、問題なく仕上げられるのが、技術研究の結果なのです。
1. 回収された古食器
2. 日本に1台しかない食器専用粉砕機
3. 1ミリ以下の食器くずになるまで何度も同じ経路を繰り返し通り、粉砕される。
4. 坏土に使われる最終形の食器くず
生活のことを考え続けてきたデザイナーがそのカタチに長い息を吹き込む
プロダクトデザイナー ヨシタ手工業デザイン室 吉田守孝氏
1965年、石川県小松市生まれ。金沢美術工芸大学工業デザイン科を卒業後、(財)柳工業デザイン研究会に入所。柳工業デザイン研究会所員として、佐藤商事(株)「柳宗理デザイン」シリーズのステンレス鍋、フライパン、キッチンツール、ストレーナー、カトラリー、包丁、耐熱ガラスボール等の製品デザインに関わる。
ヨシタ手工業デザイン室には、「手で触れ五感に感じることを大切にしたい」、「手を動かし道具や素材との対話から気づきを着想したい」、という思いが込められ、風土や環境と伝統の豊かさに生かされていることを知り、デザインすることで今日の暮らしに少しでも還元したいという思いで製作。
一度窯元を旅立ち、食卓で使われて
また時を経て戻ってくるというイメージから
名付けられた「TRIP WARE」
スタッフのおすすめポイント
POINT 1
帰宅してすぐテーブルに出せる愛らしさ!
保存機能のあるうつわ。
従来は食卓に出す際に、保存容器からお皿に盛り付けたり、お皿にラップをかけたりしていた晩ごはんのおかず。そんな味気のない保存容器を卒業できるのがTRIP WARE。
着想のひとつに加わったこの民藝のカラーが、ホッとひと息つく食卓をつくります。そのまま来客にお出ししても良い佇まいです。
POINT 2
良いのは使い勝手だけじゃない。
モノのかたちにより、所作まで美しく!
ある日のスタッフ同士の中で、TRIP WAREを持つ姿がなぜか上品!という会話が湧きあがりました。お互い使う様子を見せ合っても納得!うつわを大切に持っている感じが、モノの形から生まれ、自然と所作まで良くなる発見がありました。
POINT 3
盛り付けが楽しい!
おかずが減ったら、ひとつのうつわにに寄せ集め!
ひとつひとつの器に盛り付けたおかずし、食べると少なくなります。冷蔵庫をすっきりさせるため、少しずつ残ったおかずをひとつの容器にまとめ合わせれば、翌日の食事の時間も楽しみに。TRIP WAREは、使っていく毎日の過程にも盛り付けの機会があり、少し楽しくなります。
POINT 4
茶碗蒸しや押し寿司などさまざまな調理も可能
蓋と容器のセットで汁物も冷めない!
保存容器としてデイリーに使うだけでなく、なかなか買う機会の少ない専門道具にも早変わり!調理の他にも、小サイズならば蕎麦猪口代わりや、スープや汁物のうつわ、お蕎麦やうどんの薬味入れなど、役立つシーンが多いのも特徴です。