柄の長さや穂の形状、素材などさまざまな種類がある箒ですが、掃除上手への近道は、目的や掃除場所ごとに使用する箒を変えることです。「どの箒も同じに見えてしまう…」とお悩みの方が適材適所な箒を選ぶのに役立つ、箒の種類をご紹介します。
【場所別】箒の種類と主な素材
掃除をする場所ごとに種類を分類できる箒。ここでは、屋外用と屋内用の箒の種類と素材、保管方法の情報をまとめてみました。
<屋外用の箒>
土間箒
土間とは玄関から続く土足エリアのことで、かつて広い土間の掃除には土間箒が使用されていました。しかし現在の土間箒は、玄関周辺や家の周辺を掃除する屋外用の箒として知られています。土間箒の素材には赤シダ、黒シダ、化学繊維などがあります。赤シダは、スリランカやインドに自生しているパルミラの木の葉柄(ようへい)部分から取った繊維から作られ、太くてコシが強いので、コンクリートの上など小石が多い場所の掃除に最適です。
一方、黒シダはアレン(海外で生育する棕櫚の一種)の木から取れる繊維を用いた箒で、穂先にしなやかさがあるため、砂埃など屋外の軽いゴミを掃くのに適しています。黒シダと化学繊維は水に強い素材ですが、赤シダは水に濡れると穂先が広がってしまうため、雨に当たらない場所で保管しましょう。
竹箒
柄は竹、穂先は竹の小枝からできている竹箒は、落ち葉などを集めるのに使用される箒です。コシの強い穂先が特徴の竹箒ですが、穂先の厚みが均一ではないため、芝生を傷つけずに落ち葉の掃除ができます。竹箒を保管するときには穂先を上にして収納するか、壁に吊るして収納することで、穂先を歪ませることなくまっすぐに保てます。
葉脈箒
葉脈箒は、ヤシの葉の筋である葉脈から取った繊維から作られます。竹箒と見た目がよく似ていますが、竹箒よりも繊維が太い葉脈箒の穂は折れにくく丈夫です。竹箒と同じく落ち葉を集めるのに適した箒で、芝生や砂利、コンクリートを問わずに使用できます。庭や外回りの掃除に役立つ葉脈箒ですが、竹箒よりも価格が高いようです。
<屋内用の箒>
座敷箒
座敷箒は屋内の畳や床を掃くための箒で、素材にはホウキモロコシが使用されています。座敷箒の種類には手編みとカバーがあり、手で編んで作られる「手編み箒」は江戸時代から、ホウキモロコシの軸を切り落として作られる「カバー箒」は戦後から使われるようになりました。
座敷箒といえば、関東ではホウキモロコシからできた箒を指すのが一般的です。しかし、素材に棕櫚を使った棕櫚箒も屋内用の箒として知られており、関西では屋内用の箒といえば棕櫚箒を思い浮かべる人も多いといいます。ホウキモロコシ・棕櫚など素材を問わず座敷箒を保管する際には、太陽光による劣化を防ぐためにも、直射日光が当たらない場所で保管するようにしましょう。
自在箒
T字型をした自在箒(自由箒)は、ブラシ部分に化学繊維やシダのほか、馬毛や豚毛を使用した箒です。ブラシの幅が広いため広い空間を効率よく掃除でき、タイルやフローリングの床の掃除に適しています。化学繊維から作られた自在箒は耐久性が高く、ほかの素材に比べるとコシが強いのが大きな特徴です。しかし、馬毛や豚毛の自在箒は化学繊維から作られた箒よりも静電気が起こりにくいため、ブラシ部分に付着したゴミやホコリを取り除きやすいというメリットがあります。ブラシを下にして立て掛けるとクセが付くため、壁などに吊るして保管すると良いでしょう。
卓上箒
卓上箒とは、テーブルやデスクの上を掃除するために使用される小さな手箒です。小箒や荒神箒とも呼ばれており、箒の種類の中ではもっとも小さいサイズの箒となります。化学繊維のほか、馬毛や豚毛、棕櫚やホウキモロコシを素材に使った箒があり、通常ちりとりとセットで販売されています。ゴミが気になったときすぐに使用できるよう、テーブルやデスク脇に吊るすなどして保管しておくと便利です。
箒の種類を知って賢く選ぼう
箒を選ぶときには、掃除する場所、箒の長さや形状からふさわしい種類の箒を選ぶようにしましょう。箒には長柄、短柄、手帚と3つの種類がありますが、ここでは箒の柄の長さから箒を選ぶ方法をご紹介します。
短時間の掃除には短柄の箒
柄の長さが70cm~85cmほどの短柄の箒は、片手で掃除するタイプの箒です。柄が短く、腰をかがめながら掃除をする場合もあるため、短時間で終わる掃除に向いています。空いているほうの手で物を移動させながら床を掃くことが可能なため、物が多い場所の掃除にも適しています。
広い範囲の掃除には長柄の箒を
柄の長さが120cm以上の長柄の箒は、両手を使って掃除するタイプの箒です。使用時に腰をかがめなくても良いので体が疲れにくく、広い範囲や長時間の掃除に向いています。屋外用の箒を選ぶ際には、玄関回りは小回りの利く短柄、庭や家の外回りの掃除には長柄と、掃除する範囲や場所によって選ぶと効率よくキレイに掃除できるでしょう。