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協和染晒工場

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左海壺人

色褪せにくく通気性よく仕上がる伝統染物

注染(ちゅうせん)とは字のごとく、何層にも折り重ねた生地に染料を「注」いで柄を「染」めるという技法です。藍単色染めが主流だった染物界で、多色使いやグラデーションを実現し、それまでなかった新しい色の可能性を生み出しました。
表裏を同時に染めるため、表も裏も同じ柄が同じ色合いで出せるのが魅力のひとつ。また、生地の上に染料をのせるのではなく糸自体を染めるため、色褪せにくく通気性もよく、さらに柔らかく仕上がるのが特徴です。
この技法は、令和元年11月に、経済産業大臣から「浪華本染め」として国の伝統的工芸品に指定されています。

注染ダブルガーゼハンカチ
干支シリーズ(ウサギ)

伝統的な染色技術を駆使して作った
優しい肌触りのダブルガーゼハンカチ

990 円(税込)

注染ダブルガーゼハンカチ
干支シリーズ(イノシシ)

伝統的な染色技術を駆使して作った
優しい肌触りのダブルガーゼハンカチ

990 円(税込)

豊かな水源を生かし発展した注染文化

そんな注染の伝統を受け継ぐメーカーのひとつが、昭和27年(1952年)の創業から3代に渡り、注染浴衣、注染手拭い、捺染(なっせん)手ぬぐいなどを手掛ける(株)協和染晒工場。伝統工芸士として活躍する代表の小松隆雄さんは、「現代の名工」や「黄綬褒章」などの受賞歴のある名匠です。
毛穴(けな)町の石津川沿いに建つ工場を訪れると、色とりどりの布が風になびき、ひと目でそこが染色工場だと分かります。
「堺市の石津川沿いでは豊臣秀吉の時代から木綿が栽培され、江戸時代のごく初期には津久野・毛穴地域周辺に、和晒(わざらし)の産業がおこりました。和晒に不可欠な水と天日に干すための広い土地、肥料である干鰯に恵まれていたからです。江戸時代中期には大阪や京、北陸路に綿織物を流通させる全国有数の木綿商いの中心地になりました。薩摩藩が日本で初めての綿織物工場を作ったのも堺市だったんです」

和晒とは織物や糸から不純物をとりのぞき漂白する工程と、そうして漂白された糸でできた織物のこと。柔らかで吸水性のよい和晒は、手ぬぐいや浴衣などの生地として重宝されていました。
そんななか第2次世界大戦の戦火で、大阪市内の浴衣・手ぬぐいの染色業者が生地の産地である堺市に続々と移転。「つぎぞめ(注染)」が堺市に根付き、発展を遂げたのだそうです。

多色の絵柄を効率よく染めるための独特な技法

そんな注染の技法は、明治20年ごろに大阪の紺屋(染色業者)が多色の柄を効率よく染めるために考案したもので、ほかの染色法とは異なり日本独特なもの。20 m以上ある晒1疋は、手ぬぐいにすると20〜24枚分ですが、この晒2~3疋をカットすることなく一度に染め上げていきます。
まずは、生地の上に型紙を固定し、一型ずつ木へらで防染のりを塗り、入念に生地を折り重ねていきます。
「地味に見える作業ですが、この工程がもっとも神経を使います。ここで少しでもずれてしまうと、晒一本分の柄がすべてずれてしまいますから。後で修正がきかない重要な工程です」

こうして重なった生地の塊の上から染料を注ぎこみ、防染のりのついていない柄の部分に染料を浸透させていきます。染めの必要のない部分に染料が流れないよう、ケーキのクリームのように糊を絞って境界線となる土手をつくります。
「発注先はデザイン通りの色で染めることを求めています。染め職人の足元には50種類ほどの染料があり、これを複数混ぜることによって「色出し」をします。デザイン通りの色合いを出すために、一色ごとに色出しを行うので、職人の経験と感覚がものをいいます」
土手の中にじょうろのようなもので染料を注ぐと同時に、染台に設置された減圧タンクを足元のペダルで操作して、下から吸引。蛇腹に折り重なった生地を表と裏の2回、丁寧に染めていきます。
最後に「川」と呼ばれる洗い場で、防染糊と余分な染料を洗い落とします。ざぶさぶと豪快に洗ううちに折りが解け、美しい柄が連続する晒が現れる様子は圧巻です。

飽くなき探究心から広がる注染の可能性

細かな柄や微妙な色味、美しいグラデーションなど、繊細なデザインは職人の手作業ゆえ出せるもの。量産ながらも1点ものである注染は、一枚一枚微妙に異なる風合いも魅力です。
「とにかく手間をかける、時間を惜しまない、というのが私たちの信念です。奇想天外なオーダーがあることもありますが、無理と決めつけずにとりあえずやってみる。これまでの概念になくても、手間をかければできることもあるんです。そうしてあえて自分たちのハードルを上げていけば、結果、技術の向上にも繋がりますよね」
そんなスタイルを貫くなかで、近年は麻やニットなど晒以外の生地に注染を施すことにも成功。飽くなき探究心が、注染の可能性を無限大に広げています。

今回、堺キッチンコレクションに認定された「注染ダブルガーゼハンカチ」も、そんな柔軟な発想から生まれたアイテムです。
「両面とも裏までしっかり色が染まっているので、2枚重ねた時に反対側からうっすら色が透けて1つの柄を描き出します。表と裏の2枚分のデザインを楽しめるのもおもしろいですよね」
2枚合わせなのでハンカチとしてもしっかりしていて、柔らかな生地は肌触りも抜群。手頃な価格で色や柄のバリエーションも豊富なので、何枚も大人買いしたくなる逸品です。

取材・文/土屋朋代 撮影/佐藤裕

注染ダブルガーゼハンカチ
干支シリーズ(ウサギ)

伝統的な染色技術を駆使して作った
優しい肌触りのダブルガーゼハンカチ

990 円(税込)

注染ダブルガーゼハンカチ
干支シリーズ(イノシシ)

伝統的な染色技術を駆使して作った
優しい肌触りのダブルガーゼハンカチ

990 円(税込)

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大阪・堺市は「ものの始まりなんでも堺」と言われるほど、日本を代表する歴史や文化の始まりの地とされています。多くの職人によって「刃物」「注染・和晒」「線香」など様々な伝統産業が受け継がれているのです。sakai kitchen〈堺キッチン〉を通して、堺の伝統産品とその魅力をご紹介します。

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