棕櫚箒とは
棕櫚箒(しゅろほうき)は、棕櫚の木の幹の皮を穂先の素材に使った和箒です。棕櫚は、枝がなく幹が真っ直ぐに伸びるヤシ科の樹木のことをいいます。いつの時代に棕櫚箒が生まれたのかははっきりわかっていませんが、江戸時代以前から使われ数百年の歴史があると言われています。棕櫚皮の繊維は、しなやかで弾力があり耐久性・耐水性に優れているという特徴を活かして、船具や運搬、建築用の縄やロープや網などに古くから利用されてきました。この伝統を継承した熟練の職人による確かな技術によって、現在も一本一本丁寧に作り上げられています。
素材の違いによる区別
山本勝之助商店の棕櫚箒は、素材となる棕櫚の樹皮の繊維の太さや質などによって「鬼毛箒(タイシ箒)」「皮箒」の2種類に区別されています。
① 本鬼毛箒
鬼毛箒(タイシ箒)よりも製作に手間がかかる最上級品です。棕櫚の繊維の中から1本ずつ手で選別した最も上質な部分、「鬼毛」だけを集めて作っています。棕櫚箒の中で最も耐久性が高く、修理を行いながら使うことで15~20年以上の使用が可能です。
② 皮箒
棕櫚の樹皮をそのまま丸めて束ね、箒の穂先になるところだけをほぐしたものです。山本勝之助商店では、特に厳選した質の高い棕櫚皮だけを重ねて作った皮箒は「特選」とされています。本鬼毛箒、鬼毛箒(タイシ箒)よりも繊維が細く柔らかいので、小さなチリなどがよく取れます。
棕櫚箒の魅力
他の箒にはない、山本勝之助商店で作られた棕櫚箒の大きな魅力は、長持ちすること、埃が舞い上がりにくいこと、床にツヤが出ることです。
① 長持ちする
自然素材でできている棕櫚箒は耐久性が高く、箒の中でも特に丈夫で長持ちします。種類や品質によっても異なりますが、特に上質な棕櫚を用いて熟練の職人が製作した棕櫚箒は20年以上使用できると言われています。
② 埃が舞い上がりにくい
棕櫚箒は穂先の繊維が他の箒と比べて柔らかく、より密度のある束となっているので、埃や毛などの細かいゴミが舞い上がることなく集まります。また、棕櫚箒は静電気が発生しないため、穂先に絡まった埃や髪の毛も簡単に落とすことができます。
③ 床にツヤが出る
棕櫚の樹皮そのものに植物性油脂が含まれているので、その繊維も油分を含んでいます。このため、棕櫚箒を使い続けることで、床の自然なツヤを引き出す効果が期待できます。
棕櫚箒のメンテナンス
棕櫚箒は、未使用時に吊るして保管しておくことで、日々のメンテナンスはほぼ必要がなくなります。穂先にクセが付いてしまわないよう、立てかけて置いたままにすることは避けてくださいエアコンの近くや乾燥する場所に置くと、竹の柄が割れたり、穂先が広がる事がありますので、乾燥を感じたら霧吹きで水を吹きかけてください。
箒の使用後は、綿埃や細かいゴミが穂先にまとわりつく場合がありますが、気になったときに手で埃を払い、軽く濡らした雑巾で穂先を拭くことで、良好な状態の穂先を維持することができます。また、長く使い込んでいく中で汚れや掃きグセが付いてしまった場合は、水で洗い流すのがおすすめです。棕櫚は水に強く乾きも速いので、汚れを水で洗い流した後水気を切り、吊るして乾かせばまた美しい状態へ戻ります。
棕櫚箒の使用年数
耐久性が高く、とにかく長持ちするのが魅力の棕櫚箒。使用状況や保管の状態により異なりますが、適切なタイミングで修理をしながら大切に使うと、本鬼毛箒は15~20年以上、鬼毛箒(タイシ箒)は15~20年程度もつといわれています。皮箒は皮の品質と箒の作りによって大きく差があり、山本勝之助商店の「特選」の品質は10~13年前後、「上」の品質で5~8年前後使うことができます。皮箒は摩擦や紫外線、空気による酸化による劣化や、穂先の強いクセ、使用感など室内用として痛んできたら、外掃き用におろして使い切ることをおすすめしています。