かなや刷子について
浅草の仲見世通りやかっぱ橋道具街など都内に3店を構える「かなや刷子(ブラシ)」は、家庭用から職人御用達の品まで何でもそろった刷毛とブラシの専門店です。馬毛や豚毛などの天然素材で作られた優しい使い心地の刷毛やブラシが、店内に所狭しと並んでいます。
一番人気の商品は、馬毛で作られた歯ブラシです。硬い毛と柔らかい毛をバランスよく混ぜ合わせて作られた歯ブラシは、毛先が開きにくくとても長持ち。髪につやの出る豚毛のヘアブラシも人気の商品です。天然素材ならではの使い心地に加えて、レトロなデザインも魅力のひとつ。職人の手で丁寧に作られたよい道具を、毎日の暮らしに加えてみてはいかがでしょうか。
大正3年、浅草に創業
かなや刷子は1914(大正3)年、京都出身の大内茂治氏が東京市浅草区聖天町に「大内刷毛店」として創業し、堅実低価をモットーに、塗装用の刷毛や工業用の刷毛を主に製造していました。1923(大正12)年、関東大震災で社屋が全焼しましたが、すぐさま復興し製造を再開。1928(昭和3)年に行われた区画整理で、現在の所在地に移転しました。
戦時中は横須賀海軍で使用される船舶用の刷毛やブラシ、軍靴生産用の刷毛やブラシなどを製造していましたが、戦火が激しくなった1945(昭和20)年、社屋が再び全焼し、初代の郷里である京都の金屋町に疎開しました。戦後、東京に戻った際に、疎開先で世話になった金屋町にちなんで社名を「金屋産業社」に変更。さらに、1982(昭和57)年に「カナヤブラシ産業」と社名を改め、現在に至ります。
厳選された天然素材
かなや刷子の刷毛やブラシは主に、馬や豚などの天然毛から作られます。天然毛には化学繊維と違って、使っているうちに少しずつ摩耗する性質があることから、毛先が広がらずに長く使い続けることができます。動物の毛は、同じ動物でもたてがみとしっぽなど、毛の生えていた場所によって硬さがまったく異なります。道具ごとに必要な硬さを見極めて、それに応じた毛を選ぶことが職人の仕事の第一歩。硬さの異なる毛をブレンドし、それぞれの使い道に応じた、ちょうどよい硬さを追求します。