伝統技法でつくる白木の美しい木工芸品
端正で洗練されたフォルムと見事な木の質感に思わず息をのむ、白木の美しい工芸品。そんな木製品の数々を生み出している中川木工芸は、木桶づくりの修業を積んだ初代亀一が京都白川で開いた工房です。約700年前、室町時代のころから受け継がれる伝統的な製作技法を用いて、白木の実用的な木製品を製作。現在は二代目清司が京都の工房を受け継ぐとともに、三代目周士が滋賀の「比良工房」を主宰し、2つの工房体制で運営されています。
中川木工芸の歴史
中川木工芸のはじまりは、京都の老舗桶屋「たる源」で修行を積んだ初代亀一が、1961年に京都白川で工房を開いたことでした。「たる源」は、雑器とされていた木桶を床の間に飾れる優美なものにまで押し上げた老舗工房。そこで9歳のときから住み込みで40年ほど勤めた亀一も、繊細で優美なつくりの工芸品を数多く製作しました。亀一が開いた中川木工芸を引き継いだ二代目清司は、伝統の技を活かしながら新たな技術の習得や新製品の開発にも力を入れ、2001年には国の重要無形文化財保持者(人間国宝)として認定されました。
中川木工芸の原点、木桶
おひつやシャンパンクーラーといった、現代の生活に寄り添うさまざまな木工芸品を生み出し続けている中川木工芸ですが、その原点はやはり木桶。鎌倉時代に大陸から伝わった木桶は、室町時代に全国に広がり、江戸時代にはどの家庭にも普及し大量に使用されるようになりました。昭和40年を過ぎるとプラスチック製品が普及し、木桶は徐々に家庭で使われなくなっていきます。しかし、中川木工芸では工房の原点である木桶づくりの技術をベースに、現代の生活に使いやすいようアレンジした木工芸品を開発することで、いまもその伝統を伝え続けています。