江戸時代から続く、新潟県の老舗曲げ物工房「足立茂久商店」。
「ふるい うらごし わっぱ」と掲げられた看板の文字通り、曲げ物を作り続けている工房です。
日本海にほど近い新潟県寺泊山田地区はかつて曲げ物の生産地として栄え、江戸の末期にはふるい業組合も存在し盛んに曲げ物のふるいやうらごしが作られていましたが、時代の変化とともに需要はだんだんと減っていき、今では足立茂久商店が新潟県で唯一の曲げ物工房として残っています。
現在は11代目の足立照久氏が伝統技術を受け継ぎ、今もなお昔ながらの作り方・素材を守り見た目も美しい桜の皮で一つ一つとじ合わせています。
プロも愛用するふるい・うらごし
ふるいや裏ごしは、村上や新発田の和菓子店や旅館の菓子職人・料理人などの、その道のプロも愛用する一品。使い込むほどに手に馴染む昔ながらの木製の道具は、金属では表現出来ない微妙なさじ加減や使いやすさが生み出され、修理を繰り返して半永久的に使っている方がほとんどだそうです。
飾り物ではなく「道具」を作る。
昔ながらの道具だけでなく、「用と美」を兼ね備えた生活用具づくりにこだわっている足立茂久氏。
道具は使われてこそ活きるもの。作り手側からの目線では無く、常に使う方の目線でものづくりを続けられています。そうした考えから生まれたのが、現代の生活スタイルでも使いやすい電子レンジOKのわっぱ。185年も続く老舗は昔からの技術を大切に守りつつも新しい発想に挑み続けています。